2017.1 経営コンサル事務所ニュース


経営の自立化を目指す


 あけましておめでとうございます。

 今年は「酉」年で丁酉(ひのととり)です。干支の動物は鶏(にわとり)で、1日の始まりの明け方に鳴く鳥として「夜明け」を意味します。酉年はなにか新しく物事を始め、挑戦するには良いタイミングとされています。
 今年も弊社は事業経営者の立場に立って、お困り事を整理し将来に向けて経営支援に尽力して参ります。また今年も事務所ニュースで、毎月、事業経営に役立つ情報を発信していきます。よろしくお願いいたします。

 永続発展する企業の条件の第9話です。

1.卵を一つのかごに盛るな

 多くの中小企業は大手企業のサプライチェーンや業務フローの中に組み込まれているため、下請けで仕事をしている場合が多い。下請けはうまくいってる時は楽です。元請企業が順調に経営され、取引が続いている限り安泰です。安定した大手企業の下請けをしている場合は、営業はその元請け1社だけに行えばいいし、商品開発や生産もその会社だけを対象にやっていればいい。無駄な経費がかからず、効率的な経営ができます。

 しかし、元請け企業の業績が悪化した場合や経営危機になったときには、大変なことになってしまう。リーマンショックの時、元請け企業に頼っていた下請け企業は、元請けからの発注がなくなり、また連鎖反応による業績不振によって多くの中小企業が倒産しました。元請け会社にとって見れば、下請けは生産や景気の調整弁であり、都合の良い存在です。業績が悪化して自社の社員を切る時や賃金をカットする場合には、社員に直接話をしなければならないし、辞めてもらう場合には更に面倒です。また社員を切れば、周囲や世間からも非難されます。しかし下請けを切る場合には、仕事の発注をしなければ、それで終わりです。下請けを切っても世間から非難されることはない。

 大切なことは自社が下請けなのか、あるいはパートナーなのかということです。下請けとパートナーの違いは、下請けは他の会社に変わっても大きな影響のない会社です。一方、パートナーとはその会社がいなくなれば元請会社が困る存在です。しかし、たとえパートナーであっても、1社にだけ依存している場合は危険です。元請け会社が倒れると、自社も倒れてしまう危険があります。

 『卵を一つのかごに盛るな!』ということわざがあります。「卵を一つのカゴに入れると、もしそのかごを落としてしまうと全ての卵が割れてしまうので、いくつかのカゴに分けて入れなさい」という意味です。



 これと同様に、取引先を一社に依存すると、何かあった時には経営危機に陥る可能性があります。1社依存は経営的にバランスを欠いた状態です。また、特定の会社に売り上げの半分以上を依存していると、隷属的関係を強いられることにもなります。望ましいのは、主要取引先がなくなっても利益が出せ、存続できるようにしておくことです。1社に依存した経営体制から脱却し、「経営の自立化をすること」です。


2.経営の自立化を目指す

 リーマンショックの時に経営支援していた輸送部品メーカーA社の事例をご紹介します。A社は売り上げのほとんどを大手輸送メーカーに依存していました。リーマンショックが起こった時、元請メーカーからの発注がゼロになりました。その時、県や国の緊急対策の助成制度を活用したり、休業による対応をしました。しかし、そのままではいずれ会社の存続が危ぶまれる状況でした。ずっと大手の下請けをしてきたため、いずれなんとかなるだろうという安住意識が社内にありました。また新規取引先を開拓する営業担当や部門はありませんでした。

 そこで、トップや経営幹部を巻き込んで、緊急に自社の現状を分析し、自社の強みを洗い出して、経営方針とビジョンを策定し直しました。(参考) 自社の強み・ノウハウを生かせる他の取引先を新規に開拓する必要がありました。そのような取り組みの結果、危機意識が高まり、なんとかして現状を打開しようとする気運が社内に高まりました。これまで1社に依存していたため新規の取引先開拓に苦労しましたが、トップ・経営幹部自らが先頭に立って新規開拓に取り組みました。その後、取り巻く環境も落ち着き、1名のリストラをすることなく、難局を乗り越えることができました

 このような取り組みで大きく変化したことは、経営者や管理職、社員が、元請け会社に依存しないで「自立化」しようという意識に変わったことです。1社だけに依存することなく、バランスの良い自立した経営に変わりました。ピンチがチャンスに変わりました。


 自社が1社・1品に依存したバランスの悪い経営状況になっていないか。一度自社の「経営の自立化」について考えてみてはどうでしょうか?



 
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