2017.8 経営コンサル事務所ニュース


経営方針(計画)を策定する際の考え方のポイント

 永続発展する企業の条件の第16話です。

 評価制度や賃金制度の策定(改定)支援をしている仕事柄、人事制度の相談を受けることが多い。その中で目標管理についての悩みを聞くことがあります。「目標を作るだけに終わってしまって、会社の業績向上に結びついていない。」、「目標を作ってもそれが社員のやる気に結びついていない。」など
 現在、多くの会社で評価制度の一部として目標管理制度を導入しています。しかし目標管理制度を有効活用できている会社はそれほど多くないようである。私が人事制度の策定や改定の支援をする時に、合わせて目標管理制度の導入を依頼されることが多い。
 今回は、経営管理システムとしての目標管理について、お話します。

 上手くいってない会社に共通していることは、人事制度の評価の一部として目標管理を導入していることです。


(1)目標管理 = 経営管理システム

 本来の目標管理は、人事評価の単なる一つの手法ではなく、会社が目的を達成し業績を上げていくための重要な経営管理システムです。そのことをよく理解し、正しく導入、運用していかなければ、効果を上げることは難しい。
 企業が存続していくためには、組織の繁栄と成長のために業績を上げていかなければなりません。そのためには、明確な組織目標のもとに社員一人ひとりが、自己コントロールしながら期待される成果をあげていくことが求められます。社員一人ひとりの意欲を高め、会社の業績を上げるために有効な経営管理システムが目標管理です。
 目標管理はMBOといわれ、ピーター・ドラッカーやマクレガーが優れた組織を研究し、マネジメントシステムとして導入を提唱したことから、多くの会社で導入されました。日本でも導入されてから50年以上経ちますが、有効活用できている会社は少ない。本来の目標管理は、Management by Objectives and Self Controlといわれ、社員が自己コントロール(自己統制)によって自らPDCAサイクルを回し、目標を自己管理していくマネジメント手法です。
 バブル崩壊以降、多くの会社が人事の評価制度の一部として目標管理を導入しました。上手くいっていない理由はそこにあります。評価と結びつけて導入すると、「評価されることを前提とした目標」となり、目標は「ノルマ」となります。社員の「やらされ意識」が高まり、自発性や自己コントロール意識を引き出すことはできません。


(2)方針管理として目標管理を導入する

 私は、目標管理を導入支援する際は、人事制度の面から導入するのではなく、会社の「方針管理」と結びつけて導入しています。図で表すと、次の図になります。



 「方針管理」とは、組織の中に「目標の連鎖」を作ることです。

 全体の目標(理念・ビジョン・方針)が、事業部、部門、課、個人といった下位へと目標が密接につながり、展開されます。
 個人の目標は、それぞれの部署、部門の目標に貢献するために設定されます。このように目標が連鎖されると、各個人の目標の達成が会社の目標(業績)達成となります。方針管理制度が定着、運用された後、個人目標を評価制度に結びつけます。そうすると評価としての目標管理制度が有効に機能します。


 自社の会社方針(目標)が個人の目標まで連鎖できているかどうか、一度見直してみてはどうでしょうか?


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