2018.6 経営コンサル事務所ニュース



 永続発展する企業の条件の第23話です。

 仕事をしていると多くの会社から様々な経営相談を受けることが多い。販売不振や赤字など、問題を抱え業績が低迷している会社を見ると、その問題が急に発生したわけではなく、それらはトップ役員が過去に間違った経営の意思決定をしたことに起因していることが多い。
 今回は、経営者や経営支援者が正しく経営の意思決定をするにはどうすればよいのか、についてお話をします。


1.「戦略のミスは、戦術・戦闘ではカバーできない」

 組織の意思決定を分けると、@戦略、A戦術、B戦闘の3つに分けることができます。


 戦略的意思決定とは、経営者・役員が行う決定(理念・ビジョン・方針等)であり、この決定によって会社の将来の趨勢が左右されます。全社的な視点に基づき、あるがままの事実から判断して決定することが大切です。
 次に戦術的意思決定とは、戦略的決定に基づいて行われる決定であり、経営幹部が行う決定です。この決定が正しくなされない場合、現場が混乱する。
 そして戦闘的意思決定とは、現場レベルで行われる日常業務の決定です。組織にトップの価値判断基準や考えが浸透されてない場合、トップが決めたことが解釈されず伝言ゲームのように伝わり、現場にムリ・ムダ・ムラなどの様々な問題や混乱が発生します。

 意思決定のベースは戦略的意思決定であり、これが間違っていると、いくら戦術・戦闘レベルで頑張っても改善できない。「戦略のミスは、戦術・戦闘ではカバーできない」ということになります。


2.正しい意思決定をするための手順

  事業経営において正しい意思決定をするには、意思決定の手順「@理解(認識)→A判断→B決定」をきちんと踏んで、決めることが大切です。最初のスタートは、正しい「理解(認識)」をすることです。そのためには、現状の事実を正しく知ること、根本原因を知ることから始まります。間違った現状認識の上に、いくら優れた対策や計画を積み重ねても、効果は出ません。
 正しい現状認識ができれば、次はそれを解決するための複数の対策を立てることになります。できれば状況変化を想定して3案くらいの対策(雨コース、曇りコース、晴れコース)ができれば理想です。そして、それらの対策案から「(選択)判断」することになります。その際に、@自らの理念・価値感に合うもの、A全社的な視点で診ること、B実現可能なもの、を判断の基準として選択することが大切です。


3.「経営者は決定する人」

 事業経営の意思決定において、100%失敗しないということはありえない。どのような計画であろうが、新たなことに挑戦する際には、必ず失敗のリスクがあります。どんなに考え抜いても100%絶対ということはない。最後は、経営者の「決断(決定)」です。「決めるということは、リスク(失敗した時)の責任を取ること」です。つまり「経営者は決定する人」であり、その決定によって失敗した時に全ての責任を負う人です。

 近年、正しい判断に基づき、タイミングよく、意思決定できず、問題を起こす組織の例が多く見られます。正しい判断・決定をするスキルは、経営者また経営支援者が必ず身につけておくべき能力です。

 厳しい環境だからこそ、間違いのない意思決定が求められています。それができているかどうか、今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。



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