2018.7 経営コンサル事務所ニュース



 永続発展する企業の条件の第24話です。

 最近、経営者から多くなってきた相談が、人材の確保・評価・定着等の人事的な問題です。特に中小企業では人材を確保し、定着させるためには、「人を引きつける魅力ある会社」にしていくことが大切になります。今回は、「働く人にとって魅力ある会社作り」についてお話します。


1.働き手の減少

 多くの経営者の人事的な悩みの根本は、働く人(労働人口)の減少にあります。先頃、総務省が発表した人口動態調査によると、日本の総人口は1億2520万9603人で、9年連続で減少し、調査開始以来、最大の減少幅となりました。また主な働き手である15〜64歳の生産年齢人口は、初めて全体の6割を切りました。今後も、働き手の減少傾向はますます進んでいきます。「人が辞めれば新しい人を採ればいい」といった対応では困難になってきています。そのような労働人口不足社会を反映して、人手不足による倒産件数も増加しています。



 大手企業は、他社よりも良い給与水準や労働条件を提供することを魅力にして、人材を確保することができます。しかし、中小企業が大手企業と同レベルの給与や雇用条件を提供するには、人件費や福利厚生費等に多くの費用がかかり、難しいのが現実です
 ではどうすれば良いのか?


2.経済的報酬と精神的満足

 多くの人は会社で働き、給料もらって生活しています。しかし人が働くのは、お金を稼ぐ「経済的報酬」のためだけではありません。仕事や組織を通して、やりがいや自己成長、自己存在価値の確認等の「精神的満足」を得るために働いている面もあります。

 経済的報酬を良くするためには費用がかかりますが、精神的報酬(満足)を高めるためには多くの費用はかかりません。経営者の手間と行動力があれば可能です。また、経営者と社員の距離が短い中小企業だからこそ、取り組みやすいとも言えます。


3.「経営者は分配の名人であれ」

 分配とは、一つは「経済的分配」であり、もう一つは「精神的分配」です。経済的分配とは、世間並み以上の給与であり、利益の分配であり、社員一人ひとりが将来も安心してずっと生活ができることに協力することです。一方、精神的分配とは、働く社員にとって仕事を通じて自分の能力を発揮し、自己成長を実感でき、やりがいが持てる。さらに自分の役割や責任が認められ、やった仕事ぶりを正しく評価され、仲間と一緒に働くことが楽しくなることです。

 このような経済的分配と精神的分配を組み合わせて実施していくと、会社は良い循環で回っていき、人も会社も成長していきます。このような会社を作ることが経営者の役割です。


4.「会社の進むべき方向と個人の進む方向(キャリア)を重ね合わせる」

 働く人にとって魅力ある会社とは、組織の進むべき方向(経営理念・ビジョン)と、自分の将来の方向(キャリア)が重ねられること(共通目標とすること)です。「会社の成長が社員の成長であり、社員の成長が会社の成長となる」ことです。



 そのためには、経営理念をバックボーンとした理念・ビジョン・方針の明確化と社員への浸透が重要になります。

 組織と個人の方向性を重ね合わせた魅力ある会社作りに向けて努力を継続していく限り、会社は安定して成長していきます。



●記事に関するお問い合わせは、
 株式会社トラストブレイン 秋月まで
 香川県高松市三条町209-1
 info@trustbrain-c.com