2018.11 経営コンサル事務所ニュース



 永続発展する企業の条件の第27話です。

 中小企業のトップから相談を受けていてよく聞くことが、「うちの会社には仕事を任せられる人材がいない」といった嘆きです。ここでいう人材とは、部門や会社の経営を任せられる幹部人材です、そこで今回は、「会社の将来を支える経営幹部の育成」についてお話をします。



1.成長し続ける会社の特徴

 経営コンサルで様々な会社を見る機会が多いが、中小企業と中堅大手企業との大きな違いとして、人材に対する投資があります。
 中堅大手企業は人材育成や人事制度の整備に対して、お金と時間(手間)をかけて計画的に投資しています。一方、中小企業を見ると人材育成は成り行き任せで、人事制度についても未整備(あるいは古いままの制度)である場合が多い。

 中小企業では、そこまでの余裕がないと言えばそれまでであるが、中小企業から脱却し、中堅企業に成長した会社を見ると、小規模の時からトップが人材育成や人事制度整備に熱心で、お金が無いなら無いなりに手間をかけて取り組んでいる。

 また会社が人材育成に取り組み際に重要なことは、「教育は上から」スタートすることです。上の階層(幹部・管理職等の上のクラス)の人材から始めることが原則です。下の階層(一般社員)から始めると、多くの場合失敗します。
 理由は、下のクラスから教育を実施して意識や能力が変わっても職場に戻ると、上司である管理職の意識や考え方が変わっていない状況になります。そうなると、せっかく教育を受けても元に戻り、教育投資の効果が出ません。上司である幹部・管理職を先に教育を受けさせて変えた後、次に下のクラスの人を行うと、教育効果が高まります。


2.将来会社を支える人材の育成

 人材育成の中でも、特に大事なものが将来の経営幹部クラスの育成です。「自分の組織(部門)の業績責任を持ち、部門を経営していくことができる人材をつくることです。大切なことは、部門を管理する人を作るのではなく、部門を経営する人(部門経営者)を作ることです。
 中堅大手企業では、人事制度に組み込んで計画的に幹部クラスの人材育成をいる場合が多く、管理職が昇進昇格する際の必須研修に定めて実施しています。そして、中堅社員時にその教育を受けた人が、後々、将来会社を支える役員やトップへと成長しています。
 中小企業では、そのような研修を社員に受けさせている会社は少なく「自分の会社には人材がいない」といつも嘆いています。
 
 次に、経営幹部人材を上手く育成して、会社の成長に結び付けた中小企業の事例を紹介します。


3.経営幹部人材の成長が会社成長の原動力になる

 A社は業界の成長ともに会社も成長してきたが、社長は、言ったことや決まったことが実行されない状況に悩み、会社のあらゆる面に問題が頻発していました。会社に不平不満を持つ社員が多く、職場内のチームワークも悪かった。人を採用してもすぐに退職し、定着しなかった。また、顧客からのクレーム等、問題も多発していた。
 そのような問題の根本原因は、部門や店舗をまとめ、調整する人材が不足していることにありました。そこで人事制度の整備と、経営幹部人材の育成に取り組みました。

 社員の中から有能を思われる人材を選抜し、数年間かけて、経営幹部養成の研修に派遣しました。中小企業のA社にとっては大きな出費ではあったが、「将来の会社の安定成長への投資」と捉え、設備投資と同じ様に考えて、予算計画を立てて人材育成投資を決めました。
 研修に派遣したすべての人がモノになったわけではなく、約半数くらいの人材が将来経営幹部としてやっていけそうな見込でした。

 人材育成投資の効果は間もなくして現れ、経営幹部として教育した人達が、部門や店舗をまとめ、リーダーとなって現場の問題を解決するようになりました。その結果、現場で多発する問題が減少し、不平不満や辞める人が減りました。さらに、職場が安定すると、現場から業務改善の提案がたくさん出るようになりました。そのような取り組みの結果、数年後には売上が倍増するまでに成長しました。

 今では、育成した幹部人材の中から、後継者を将来支えるであろう役員候補が出てきています。


 会社の将来からみた経営幹部の育成ができているだろうか? 一度見直してみてはいかがでしょうか?



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