2018.12 経営コンサル事務所ニュース



 永続発展する企業の条件の第28話です。

 香川県は「うどん県」と言われるように、県内には多くのうどん店があります。コンビニエンスストアよりも多くの店舗数があります。それらのうどん店の多くは、小規模の家族経営の店舗です。
店主が社長であり、社長自らがうどんを打ち、提供し、お客様からお金を頂いています。そのため、毎日の儲け(売上、経費、利益等の業績数値)と、お客様の入りや注文状況を自ら把握することができます。

 事業経営をしていく上で、会社の規模に関係なく、トップが会社の業績数字を掴み、数字を基に考えることは大切なことです。今回は、「業績数値を把握し、コントロールする」ことについてお話をします。


1.儲かる会社と儲からない会社

 日本には法人企業が約250万あり、その内の約7割の180万社弱が赤字会社で残りの3割が黒字会社です。また毎年10,000〜15,000社の企業が倒産しています。(国税庁「法人企業の実態(会社標本調査)」)

 現在のように経済が低迷している状況では儲けるのは難しい。どうしても儲けを出したいのであれば、「経営数字をつかみ、コントロールする」ことです。1年間経過して決算を締めてみたら儲かった、損をしていた、といったようでは儲けは出せません。そのような経営は「成り行き経営」です。まずは経営の数字をつかむことです。数字がつかめていないと経営の実態がわからない。いくら稼いでもザルに水を注ぐようなものです。

 例えば、個人がなんとなく貯金をしようと思っているだけでは、お金は貯まらないでしょう。本当に貯めようと思うなら、目標の貯蓄額を決め、毎月の給与から先取り(天引き)し、残りのお金で日々の生活費をコントロールすることです。業も同じで、売上目標から目標利益を引いて、努力して売上や経費をコントロールすることです。このような努力をする所に経営の意思や知恵、行動が生まれます。

 また経営者は「俺は営業出身なので帳簿のことはまるでわからない」というのも困ります。商品が売れてお客も沢山来ているから数字を気にしなくてもいい、ということではない。まず数字を正確につかむこと、事業の実態を数字で正確に把握することが大切です。経営者は会計士や税理士ではないのだから決算書を作れる必要はない。しかし、数字を読んで経営の実態が分かり、打つべき対策が打てることは重要です。


2.業績数字を把握し、コントロールする

 繊維メーカーのA社は、海外製品の流入による低価格競争と国内市場縮小により業績低迷が続き、会社の存続が危ぶまれる状況でした。また1年経って決算を締めて、業績が赤字とわかる状況でした。

 そこで月次の業績管理と経営会議の制度を導入しました。毎月の業績数値がすぐ把握できるようにし、その数値に基づき経営会議で対策を立てるようにしました。会議には経営者、財務や生産、物流などの各部門の幹部が参加し、皆で数値をみて対策を検討し、その実行を確認するようにしました。最初の会議では、できない理由ばかりがたくさん上がっていましたが、それでは会社は改善しません。できない理由を考えるよりも、どうすればできるのかを優先して考えるように促しました。自分達が、今できるところから実行するようにし、全社で経費節減に取り組みました。毎月の業績数値を見て経営判断することで、経営者、経営幹部のマネジメント力と実行推進力が高まり、経営のPDCAサイクルが回るようになりました。このような取り組みの積み重ねにより業績が黒字化しました。


 数字が苦手な経営者・役員の方もいると思いますが、まずは毎月の損益計算書の数値分析から初めてみてはいかがでしょうか?



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