2019.2 経営コンサル事務所ニュース



 永続発展する企業の条件の第29話です。

 経営者からよく相談を受けることとして、「会社の経営方針(計画)は策定したが、それが実行されず、計画倒れになってしまっている」ことがあります。そのような会社の経営方針書を見ると、計画は体裁良く作られているが、具体的な達成ストーリー(プロセス)の落とし込みが甘く、さらに実行責任者への共有化が弱いことがあります。今回は、経営方針を実行するための「方針達成ストーリー(プロセス)づくりと共有化」についてお話をします。


1.方針達成のストーリー(プロセス)を描く

 計画(方針)を策定された時には、それを達成しようとする意欲は高い。しかし実行段階になると、急ぎのことが優先されたり、具体的に実行する方法が見えず実行力が弱くなっています。そして1年経って年間計画を振り返ると、計画されたことが未達成に終わり、計画倒れになっています。

 立てた計画(方針)が実行されない背景の一つは、その計画が達成されるまでのストーリー(プロセス)づくりが弱いことにあります。計画を立てただけでは、達成責任者はそれぞれの計画の繋がりや流れがよく見えず、会社全体の方針の中で、自分が携わる計画の位置づけや関わり、重要性が認識できていません。計画達成のストーリー(プロセス)の中に、それぞれの計画を落とし込み、全体の繋がり・プロセスを実行メンバーが理解し、共有化できるように落とし込むことが大切です。



 次に経営支援をお手伝いしたA社の取り組み事例をご紹介します。


2.戦略ストーリーマップの作成と共有化

 A社はこまで順調に成長してきたが、今後の業界の変化を考えると、いま会社を変える必要がありました。今後他業界からの市場参入が増え、また市場の成熟化による需要の落ち込みにより、競争の激化と価格の下落が予測されました。そのような中、会社の方向性を経営陣で検討し、経営方針としてまとめていました。しかし方針は作られるが実行が伴わず、方針の未達成状況が続いていました。このままでは、いずれ業界の変化に飲み込まれて会社が低迷すると、社長は不安を感じ、何とかしなければと思っていました。

 そこで取り組んだのが、「社員参画型の経営方針策定と戦略ストーリーマップづくり」です。まず方針の策定にあたっては、経営陣だけでなく、方針の実行責任者である経営幹部と管理職も参加してもらいました。参加者皆で会社の現状、問題点を認識し、進むべき方向(対策)と計画づくりに取り組みました。そして方針の策定にあたっては計画だけでなく、それらが会社全体でどのような流れ、つながりになるかを「戦略ストーリーマップ」で明確にしました。マップを作る過程を通して、参加者がすべての計画の関連性や流れを認識し、共有化が進みました。また方針の作成過程を通じて、参加者の当事者意識が高まりました



 策定した方針は、「方針発表会」で、全社員に発表しました。発表時は経営陣だけでなく経営幹部・管理職も加わり、実行責任者として自部門の方針を発表してもらいました。さらに「戦略ストーリーマップ」は、全社員が見えるところ(A社の場合は食堂)に拡大掲示し、すべての社員が常に会社の取り組みを理解できるようにしました。
 その結果、経営方針の実行が進み、業績を伸ばしました。その後A社は同業社を吸収合併し、いまでは地域ナンバー1企業に成長しています。


 計画や目標は確実に実行され、達成されているでしょうか? まずは経営方針の作り方、共有化の方法を工夫してみてはいかがでしょうか?



過去の事務所ニュースです ⇒ 事務所ニュースのまとめ
●記事に関するお問い合わせは、
 株式会社トラストブレイン 秋月まで
 香川県高松市三条町209-1
 info@trustbrain-c.com