2019.5 経営コンサル事務所ニュース



 永続発展する企業の条件の第32話です。

 今月から元号が平成から令和に変わりました。どのような時代になろうと、事業・組織は健全な成長を目指し続けることが大切です。成長することで、そこで働く社員(職員)の生活の安定と人間的成長が可能となります。また職を求める人にとっても、成長を目指さない会社よりも成長を目指してる会社に魅力を感じ、集まってきます。さらに仕入先や金融機関等の関係先にとっても、成長を目指している会社と取引してると安心できます。

 そして会社は成長に伴い組織規模が拡大します。そうなると「経営のバランスをとること]と「タイミングを見極めること」が重要になってきます。生産と販売と財務(経理)のバランス、現状と将来(短期と長期)のバランス、投資と収益化のバランスなど。バランスが崩れると会社は弱い部分から壊れていきます。タイミングよくバランスさせる能力がトップの「経営力」です。



1.会社の成長はバランスとアンバランスの繰り返し

 本来会社は、バランスとアンバランスを行ったり来たり、繰り返しながら成長していく。例えば、設備投資や人材採用等をすると、今のバランスが崩れて必ずアンバランスになる。そのままの状態が続くと、会社は倒れてしまう。投資した資金を回収(収益化)することで、バランスを取り戻すことができます。バランスを取り戻す力を「復元力」と言います。「復元力」が強い船は、どんなに激しい嵐にあっても転覆することがない。



 自社の持っている復元力を見極め、その復元力を大きくすることが経営者の力量です。自社の復元力の大きさに合ったアンバランス(計画的アンバランス)を起こし、すぐにバランスの方向にもっていく。この繰り返しによって会社は成長していく。
 重要なことは、計画的アンバランス(意図したアンバランス)を起こすことです。



2.健全な成長パターンとは

 会社の成長には、一本調子に成長していくパターン(A)と、階段を昇っていくような成長パターン(B)があります。



 健全な成長パターンは後者のBです。攻め一辺倒のAのような成長パターンは危険です。必ずつまずき、滑り落ちる。会社はBのように、攻めと守りを繰り返し、踊り場を作りながら階段を一歩一歩確実に昇っていくように成長することが大切です。



3.バランスを欠いた成長による失われた10年

 A社は製造業で、新たに機械設備を導入しました。大きな投資でしたが、製造部門の生産能力が3倍以上になり、飛躍的に向上しました。しかし、その生産能力に見合う受注ができず、販売(受注)と生産のアンバランスが発生して財務的負担が増大しました。その結果、機械稼働率を上げるために低い単価で受注せざる負えなくなり、売上は上がりましたが利益が大きく低下しました。

 原因は、自社の復元力と業界・市場環境の変化を見誤り、タイミングを欠いた経営判断にありました。その結果、生産と販売(受注)のアンバランス、投資と収益化のアンバランスを起こしました。A社はバランスを取り戻すのに10年余りの期間を要しました。その間、ライバル他社は業界の技術変化に対応しました。しかしA社はその変化に対応することができず、長い間、会社と社員を苦しめることになりました。


 バランスとタイミングを考えた経営ができているでしょうか。自社の経営のバランス状況を一度総点検してみてはいかがでしょうか。



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